経歴・人物
ホピ族の歴史と文化
ホピ族(Hopi)は「平和な人々」を意味するプエブロ系先住民族で、アリゾナ州北部のホピ台地に3000年以上にわたって居住してきた。カチーナ(Kachina)と呼ばれる精霊信仰と精緻な農業技術を持ち、年間降水量わずか250mm以下という過酷な高原でトウモロコシ・豆・かぼちゃを栽培する農耕文化を維持してきた。オライビ(Oraibi)村は北米で最古の連続居住地のひとつとされ、紀元1100年頃から人が住み続けている。
大浄化と伝承の構造
ホピの予言は特定の個人に帰せられるものではなく、複数の村の長老たちによって口頭で伝承されてきた。核心は「大浄化(Great Purification)」の到来である。ホピの世界観では現在は「第四の世界」にあたり、人類が均衡(ホピの言葉でコヤアニスカッツィ:乱れた生き方)に陥ると世界が浄化され「第五の世界」へ移行するとされる。自然と調和した生き方(ホピの道)を守る者だけがその移行を生き延びられるという。
9つのサイン
伝承の中でも有名なのが「9つのサイン」である。White Feather長老の言葉として英語圏に広まったバージョンでは、①大地に線(鉄道)、②空に回転する貝(プロペラ機)、③大地を這う鉄の蛇(パイプライン)、④海を泳ぐ鉄の亀(潜水艦)などの徴が現れた後、⑨空に落ちるブーメランのような星(ブルースター・カチーナ)が現れると大浄化が始まるとされる。多くの「サイン」は近代技術への言及として解釈されている。
国際的な普及と内部論争
1948年に長老たちは国連への陳情を開始し、以後数十年にわたって国際社会にホピの警告を伝えようとした。1960〜70年代のカウンターカルチャー運動・ニューエイジ運動の中でホピの予言は広く普及し、フランク・ウォータースの著書『Book of the Hopi』(1963年)が普及に大きな役割を果たした。ただし「虹の戦士」「9つのサイン」などの概念についてはホピ族内部でも「聖なる伝承をみだりに外部に公開すべきでない」とする立場と「世界に警告を発すべき」とする立場の間で論争がある。
主な予言・功績
- 9つのサインの予言
- 青い星カチーナ
- 大浄化(Great Purification)
- 国連への陳情(1948年〜)
参考文献・出典
- Frank Waters「Book of the Hopi」1963年
- White Bear Fredericks 伝承記録