経歴・人物
コイニャッハ・オダー(英語:The Brahan Seer)は17世紀スコットランドの霊視者・予言者とされる人物。スコットランド・ゲール語で「コイニャッハ・オダー」とは「薄茶色のケネス」を意味する。ブラハン城(Brahan Castle)周辺で農業労働者として生活していたとされる。
彼は「青い石に穴を開け、その穴を通して霊的ビジョンを得る」という独特の透視法を持っていたと伝わる。多くの予言を語ったとされ、その最期については、シーフォース伯爵夫人イザベル・マッケンジーに夫の不貞を告げたことで怒りを買い、生きたまま樽に入れて燃やされたという話が伝わる。
処刑前に「シーフォース家の断絶」(詳細な条件付きで成就したとされる)、「カレドニアン運河の建設」(1822年完成)、「北海での黒い雨の発見」(1969年〜北海油田)などを予言したとされる。
しかし歴史的な一次資料における彼の記録はほとんど存在しない。現存する「ブラハンの予言」のほとんどは、1877年にアレクサンダー・マッケンジーが出版した書籍に初出するものであり、事後的に収集・編集された可能性が高い。タムの予言者(Brahan Seer)として前述のブライアン・ブレアスとも呼称が重複する。
収録予言(5件)
本サイトに記録したブラハンの予言者(コイニャッハ・オダー)の予言を、成就状況の判定・原文・検証つきで掲載しています。
「船がビーン山の影の下を通る」──カレドニアン運河の建設を予言
成就17世紀スコットランドの予言者コイニャッハ・オダー(ブラハンの予言者)は「帆船がビーン山(Ben Nevis)の影の下を逆風に向かって通り抜ける日が来る」と予言したとされる。1822年に完成したカレドニアン運河(グレートグレン沿いに運河を通してロッホ・ネス等の湖を結んだ)では、蒸気船がベン・ネビスの麓の湖を遡行する光景が実現した。
'S ann uair a bhitheas long fo sheòl agus osna na gaoithe na coinneamh, thèid i seachad air sgàile Beinn Nibheis. ──(原語:スコットランド・ゲール語)
出典:コイニャッハ・オダー(ブラハンの予言者)口述伝承(17世紀スコットランド)
- The Prophecies of the Brahan Seer(Alexander Mackenzie著, 1877年)
- Brahan Seer - Wikipedia
シーフォース家の断絶──五代目伯爵まで続き絶える
成就ブラハンの予言者は処刑(油の入った樽で焼き殺されたとされる)の直前に「シーフォース家は5代にわたって耳の聞こえない当主が続き、その後男系が絶える。財産は消え、土地は女によって売られ、最後の当主は息子4人に先立たれて死ぬ」と呪いとも予言とも取れる言葉を残したとされる。19世紀に実際にシーフォース家の最後の伯爵フランシス・ホートン・マッケンジーが聴覚障害を持ち、4人の息子に先立たれ、娘に財産を売らせて死去したことで的中とされた(1815年)。
I see into the far future, and I read the doom of the race of my oppressor. The long-descended line of Seaforth will, ere many generations have passed, end in extinction and in sorrow. I see a Chief, the last of his house, both deaf and dumb. He will be father to four fair sons, all of whom will go before him to the tomb. He will live careworn and die mourning, knowing that the honours of his line are to be extinguished for ever. ──(原語:スコットランド・ゲール語(英語訳))
出典:コイニャッハ・オダー(ブラハンの予言者)処刑前の予言(17世紀)
- The Prophecies of the Brahan Seer(Alexander Mackenzie著, 1877年)
- Brahan Seer - Wikipedia
「北海に黒い雨が降る」──北海油田の発見を予言
成就「スコットランドの北の海(北海)に黒い雨が降り、スコットランドに富をもたらす日が来る」という予言が伝えられており、1969年に始まった北海油田の開発と符合するとして引用される。「黒い雨」は原油の採掘・流出を比喩したものと解釈されている。
Horrid black rains shall fall upon the Highlands, bringing riches to Aberdeen, but grief to Inverness. The wealth that was hidden in the deep sea shall be found, and men shall fight and die for it. ──(原語:スコットランド・ゲール語(英語訳))
出典:コイニャッハ・オダー(ブラハンの予言者)口述伝承(17世紀)
- The Prophecies of the Brahan Seer(Alexander Mackenzie著, 1877年)
- Brahan Seer - Wikipedia
「ドラモシー・ムーアよ、汝の荒れた原野は…」──カロデンの戦い(1746年)を予言
成就17世紀のブラハンの予言者は「ドラモシーの荒れ野(Drummossie Moor)は、多くのスコットランドの血で染まる日が来る」と予言したとされる。1746年4月16日のカロデンの戦いはジャコバイト軍がカンバーランド公率いるハノーヴァー軍に惨敗した場所がまさにドラモシー・ムーア(カロデン・ムーア)であり、この予言の成就として語られる。
Oh! Drummossie, thy bleak moor shall, ere many generations have passed away, be stained with the best blood of the Highlands. Glad am I that I will not see the day, for it will be a fearful period; heads will be lopped off by the score, and no mercy will be shown or quarter given on either side. ──(原語:スコットランド・ゲール語(英語訳))
出典:コイニャッハ・オダー(ブラハンの予言者)口述伝承(17世紀)
- The Prophecies of the Brahan Seer(Alexander Mackenzie著, 1877年)
- Battle of Culloden - Wikipedia
「羊の軍勢が来てハイランドを侵略する」──ハイランド・クリアランス(19世紀)を予言
成就ブラハンの予言者は「羊の大軍がハイランドに侵入し、人々を土地から追い出す日が来る」と予言したとされる。18世紀末〜19世紀前半に起きたハイランド・クリアランス(地主がテナント農民を強制退去させ牧羊地に転換した社会変革)と符合するとして引用される。大勢の農民が先祖伝来の土地を失い、北アメリカ・オーストラリア等へ移住させられた歴史的事件。
The time will come when the jaw-bone of the big sheep will drive the plough-stick from the field, and the jaw-bone of the big sheep will put the sons of the glens to flight. ──(原語:スコットランド・ゲール語(英語訳))
出典:コイニャッハ・オダー(ブラハンの予言者)口述伝承(17世紀)
- The Prophecies of the Brahan Seer(Alexander Mackenzie著, 1877年)
- Highland Clearances - Wikipedia
参考文献・出典
- The Prophecies of the Brahan Seer(Alexander Mackenzie著, 1877年)
- Brahan Seer - Wikipedia