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都市伝説ではなく、公文書に残る計画

2026年9月27日放送の『やりすぎ都市伝説スペシャル2026秋』で、関暁夫が米国に渡り、超能力スパイ計画「プロジェクト・スターゲイト」の元参加者に取材するという。

超能力でスパイをする——荒唐無稽に聞こえるが、この計画は実在した。米国政府が自ら認め、関連文書を公開している。CIAは2017年1月、機密解除した文書群をウェブ上の閲覧室で誰でも読めるようにした。

本記事では、公開された公文書から計画の実像を確かめる。そのうえで、この計画の出身者として日本で最も有名な人物、ジョー・マクモニーグルの予言を検証する。

20年以上続いた「遠隔透視」の研究

古い軍事施設の廊下と、閉ざされた鉄の扉

計画の中身は「リモートビューイング(遠隔透視)」である。離れた場所にある施設や物を、心の中で「見て」描写するという手法だ。

始まりは冷戦期だった。ソ連が超能力研究に多額の予算を使っているという情報を受け、米国も研究に乗り出した。経緯は次のとおりである。

1972年 CIAの資金で、スタンフォード研究所(SRI)の物理学者ラッセル・ターグとハロルド・パソフが研究を始める
1977〜78年 米陸軍がメリーランド州フォート・ミードに遠隔透視の部隊を置く(「グリル・フレーム」)
1983年 「センター・レーン」に改称
1985年 国防情報局(DIA)の所管となり「サン・ストリーク」に改称
1991年 「スター・ゲイト」に改称
1995年 CIAに移管され、外部評価を経て打ち切り

名前を変えながら、20年以上続いたことになる。費用は総額で約2,000万ドルとされる。

なぜ軍がこんな計画に本気で予算をつけたのか。その背景には、ベトナム戦争で傷ついた軍人たちが思い描いた「人を殺さずに勝つ軍隊」という構想があった。英国のジャーナリスト、ジョン・ロンスンが関係者を訪ね歩いた『実録・アメリカ超能力部隊』(文春文庫)は、その構想がどう生まれ、どう変質していったかを追ったノンフィクションである。2009年にはジョージ・クルーニー主演で『ヤギと男と男と壁と』として映画化もされた。公文書が語らない、計画の内側の空気が伝わってくる一冊だ。

1995年の評価報告書は何と結論したか

1995年、CIAは米国研究所(AIR)に計画の評価を依頼した。9月29日付の報告書『遠隔透視の評価──研究と応用』は、同年11月に公開されている。

評価には二人の専門家が加わり、意見は割れた。統計学者ジェシカ・アッツは「実験室の統計には説明のつかない効果がある」とし、心理学者レイ・ハイマンは「統計が異常でも、超能力の証明にはならない」と反論した。

だが、報告書の結論ははっきりしている。

「遠隔透視という超常現象の存在が実証されたかどうかは、依然として不明である」

「提供された情報が、諜報活動の指針として使われた例は一件もない」

「遠隔透視による情報は曖昧で多義的であり、諜報に使える質と正確さの情報を生むことは、不可能ではないにせよ困難である」

「諜報活動で遠隔透視を使い続けることは正当化されない」

計画は実在した。しかし政府自身の評価は「使えなかった」である。この二つを分けて覚えておくことが大事だ。「CIAが超能力を研究していた」は事実だが、「CIAが超能力を実証した」は事実ではない。

「被験者001号」ジョー・マクモニーグル

この計画の出身者として、日本で最も知られているのがジョー・マクモニーグルである。1946年生まれの元陸軍情報将校で、1978年から部隊に参加し、「被験者001号」を名乗る。

2000年代には日本テレビ系の特番『FBI超能力捜査官』に繰り返し出演し、行方不明者の捜索などで知られた。ただし彼はFBIに所属したことはない。この呼び名は日本の番組と出版社が付けたもので、本人は名乗っていない。

ソ連の新型潜水艦を透視で描いた、勲功章を受けた——といった経歴は、主に本人の著書によるものだ。本記事ではそれを否定も肯定もしない。確かめられるのは、計画全体に対する評価報告書の結論が上に見たとおりだった、ということである。

本サイトのデータに、誤りがあった

机の上に広げられた古い書類と、赤いペンで付けられた訂正の印

ここで、本サイト自身の問題を書かなければならない。

本サイトはこれまで、マクモニーグルの予言として次の2件を「成就」と記録してきた。

① 1998年の著書『The Ultimate Time Machine』で「2010〜2012年に日本の東北沖でM9規模の地震が起きる」と書いた

② 1998年の著書や講演で、9.11の同時多発テロを予測した

今回、記録をたどり直したところ、どちらも出典を確認できなかった。①の「東北沖・M9・2010〜2012年」という文言は、原書の記述として確かめられない。②については、1998年の原書を読んだ海外の読者が「9.11の予測は含まれていない」と書き残している。

出典を確かめないまま「成就」と記録し、それを複数の記事で引用していた。本サイトがハミルトン=パーカーの記事で書いた「当たった予言ばかりが集まる」偏りより、さらに悪い。当たっていない予言を、当たったものとして記録していたことになる。本記事の公開にあわせて、データと関連記事を訂正した。

確かめられる予言の記録

では、確かめられる記録はあるのか。ある。2006年に日本で出版された著書『ジョー・マクモニーグル 未来を透視する』(ソフトバンクパブリッシング)には、日本についての具体的な予言が年表の形で載っている。日本語版Wikipediaなどが紹介している内容を並べる。

❌ 2008年夏 日本を11.2mの津波が襲う

△ 2010年晩夏 日本を13mの津波が襲う(実際の東日本大震災は2011年3月)

❌ 2007年晩秋 高槻市で震度6の地震(実際に高槻市で震度6弱を観測したのは2018年6月)

△ 2015年まで アジアの大都市のひとつで大地震

❌ 2011年まで 自然災害のため新東京タワーの完成が2年遅れる(実際の遅れは約2か月)

このなかで東日本大震災に近いのは「2010年晩夏に13mの津波」である。時期は約7か月ずれ、場所の指定もない。当たりと見る人がいるのは理解できるが、同じ表には外れた津波の予言も並んでいる。本人も「年代には前後数年の誤差があり得る」と書いている。数年の幅を認めれば、地震の多い日本では、いずれかが何かに重なる。

本サイトは、この記録を「部分的」と判定する。事前に出版された記録であることは確かで、その点は評価できる。だが「東北沖でM9を当てた」という、これまで流通してきた話とは別物である。

本サイトの見立て

霧の向こうにかすむ、夜明け前の街の灯り

整理する。

スターゲイト計画 実在した。1972年から1995年まで、名前を変えながら続いた。

政府の結論 「超常現象の存在は実証されていない」「諜報活動に使われた例はない」「続ける正当性はない」。

マクモニーグルの経歴 計画への参加は事実。個別の「的中」の多くは本人の著書による。「FBI超能力捜査官」は日本の番組が付けた名称。

東日本大震災・9.11の予言 本サイトが「成就」としていた2件は、出典を確認できず訂正した。確かめられる記録は2006年の年表で、成績は外れが多い。

スターゲイトの話が面白いのは、超能力が本物だったからではない。冷戦のさなか、国家が本気で超能力を試し、20年かけて「使えない」と結論し、その記録を公開したからである。都市伝説の多くは記録がないことで生き延びるが、この話には記録がある。そして記録は、期待とは違う答えを出している。

本サイトも同じ基準で自分たちの記録を見直した。マクモニーグルには、南海トラフや富士山噴火についての予言も残っている。こちらも出典を確かめながら、期日が来たら結果を書き加えていく。

本記事は、米国のスターゲイト計画について、機密解除された公文書(米国研究所「An Evaluation of Remote Viewing: Research and Applications」1995年9月29日、CIA電子閲覧室 等)と公開情報をもとに整理・検証するものです。ジョー・マクモニーグル氏の経歴・予言に関する記述は、同氏の著書と公開されている情報によるもので、同氏を批判・誹謗する意図はありません。予言の判定は本サイトの評価です。本サイトの過去の記録に誤りがあったことを、本記事で訂正しています。